中国の RC 学校

 中国では、RCカー等ラジコン模型は教育の一環として認識されて、政府も
 色々な形で推進しています。
 今回は、RCを教育として実施されている施設や学校等を少し視察に行って
 来ました。

 日本ではもっと多くの人が、ホビーとして愛好して欲しいと思う人は多いと思い
 ますが、やはりまだまだ社会的には、遊びとしてしか捉えられず。少し肩身の
 狭い思いをしている人々も多いと思います。

 中国の様に教育として認識されれば、もっと社会的地位も認められてユーザー
 も増えるのでは無いかと思います。

 我が国の教育関係者、またメーカー等も、参考にして頂ければ良いかと
 思います。




  3月26日(月) 出発
 今回も例によって、今少し話題になって来たLCC中国の春秋航空にて上海
 へ出発。

 もうすっかりと慣れた春秋航空。 荷物超過も大丈夫! 今回は12kgで
 ノーチェック。 これは飛行機というよりバスに乗る様な感覚。 飛行場も小さく
 手続きも簡単。そして歩いて飛行機に乗り、乗ってしまえば後は何もサービス
 は無い... ただ空を飛んでいるバスという感じ。



 機体に積み込まれる荷物。


 そして離陸... 何故か日本語のアナウンスが無くなった。最後まで中国語と
 英語のみのアナウンスだけだった。
 画面上は自衛隊百里基地、と滑走路。




 13:20に出発し、16:05に上海に到着。 中国は時差が一時間ある為に
 約3時間半位の飛行だ。成田空港等では、ゲートを離れて離陸するまで、
 10分以上も掛かることもあるが、茨城空港では3、4分で離陸してしまう。
 今回も男性アテンダントがまだ着席していない間に離陸が始まり。飛行機が
 加速を始めて、慌てて後部へ走っていった。

 上海空港では、ゲートに着かず、ターミナルからかなり離れた所に停止し、バス
 でターミナルへ向う。少し不便な様だが、通常のゲートに到着するより、バスは
 イミグレーションの近くまで運んでくれる為に遥かに歩く距離も短く早く着く。

 26、27日は自分の仕事の為に各所を訪問。

 28日(水)上海より車で約2時間位の所、杭州市にある 
 YOUTH AND CHILDREN'S CENTER を訪問した。 ここは子供達が
 土、日曜日に通う、課外学習をする所で、政府が運営する学校である。
 現在在校生は、約1800名、そしてラジコン部門では、約300名が在籍
 しているとの事。

 有名な西湖の道路を挟んだ向いにある。



 綺麗な学校、この学校は50年の歴史がある。


 様々な教室があり、それぞれの行事等が掲示されている。


 大変綺麗な校舎、中庭もある。


 工作室、昔の生徒が製作したUコン飛行機等も展示。


 工作機械等の設置されている。


 多くの教材等もある。


 学校のすぐ前には遊園地があり、小さなRCコースもある。


 この学校では、海外への交流旅行も企画されている。 日本も入っている。
 RC部門でも日本との交流旅行を希望され、現在調整中。



 校長始め、RC関係の先生と懇談。次回は授業中にお邪魔します。



 胡錦涛国家主席や政府の要人達も視察。


 様々な”教室”が用意されている。 この中にRCの授業もある。
  

 楽しみながら、勉強する。 教育の原点かも知れない...



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 そして午後からは、”あの先生”の中学校を訪問。

 昨年のHPIチャレンジで訪問を約束。
 

 新しくて大変綺麗な校舎。ここは中学校。非常に大きい。


 広大な校庭の一部にオンロードコースを製作中。 コースのアドバイスが欲しい
 との事。 この学校では、授業では無いが課外授業として、クラブの様な形で
 RCの教育をしている。組み立て、メンテ、セッティング、そしてレース参可等。
 レース等で良い成績をあげられると進学も有利になる為に、生徒に一生懸命
 に教えているという。

 コースが完成すれば、レースを開催するという。 5月6日来れませんか?
 来たいけれど、日本ではゴールデンウイークで...ちょっと難しいかな?



 次回中国へ来た時は、またここへ来ます。 そしてもし機会があれば、生徒達
 に少し講義でもしたいと思います。 頑張って良い生徒を育ててください。




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 杭州市は、高層ビルやマンションが立ち並ぶ大きな都市。人口は800万人位



 次に訪問したのは、とある小学校。

 授業は終わり、一部の生徒がクラブ活動?


 放課後のグランドでは、女子サッカーの練習、そしてその横ではRCカーの
 練習...




 子供達の夢は”チャンピオン” 現在中国では本格的なRC雑誌は無いとの事
 しかし、香港の雑誌は読むことが出来る。
 広坂の名前を知っていてくれ、どこでも大変に歓迎されたのは非常に嬉しい。
 いつか正美と一緒に訪問する事が出来れば皆もっと喜んでくれるだろう。

 私の見た限りでは、現在の中国では取り立てて”教育”という感じでは無く、
 もっと自然に、我々が子供の頃に学校で教わった”工作”の延長の様に極
 自然に取り入れられ。そしてその中で興味を持った子供達がもっと深く入って
 行ける環境が出来つつある様に思えた。

 これは、やはり周辺の指導者等がRCに対する認識が日本とは大きく違う事が
 要因だと思う。通常の勉強以外の知識や特技の習得に力を入れる、親や
 指導者の考え方に共感した。

 皆頑張って練習をしよう、 必ずチャンスは訪れるよ!



 3月29日(木) 
 オーナーよりの依頼で学校では無いが、ゴルフの練習場を訪問


 打ちっぱなしの練習場では世界最大級では? とオーナー曰く。 
 確かに大変広い。しかし何で私がここに?


   オーナーが各所を案内。
  

 とにかく広い! 中を歩くのも大変。


 クラブハウスの後ろに少し空き地がある。 ここにRCオフロードコースを作り
 レース等も開催したいとの提案。 どうですか、出来そうですか?

 少しどころか非常に広い、長さはゆうに100m以上はある。住宅が近い為に
 GPは無理だが、EPであれば、1/5クラスでも走行可能だと思う。
 ピットスペースも十分。

 しかしゴルフののお客とは殆ど無縁なのでは? オーナー曰く、ゴルフ客は
 RC等には興味が無いかもしれないが、家族で来た人等が、ゴルフを練習して
 いる間にRCカーで遊んでいる事も出来、また中国では車のレース等も盛んに
 なって来た為に、人々の注目を浴びるかも知れないとの事。

 確かにその通りかも知れません。実現可能となれば最大の協力は致します。




 次に訪問したのは、自転車及びスケ−トボード等のスポーツ施設。

 こちらも大変に広く、色々なコースが設置されている。 世界大会等も開催
 されてきたそうだ。



 この施設内にあるイベント広場、過去にもRCイベントが開催された様だ。
 今年もまた開催予定との事。





 今回、最後に訪問したのは、授業でRCを行っているという中学校。

 上海市高境三中

 校門を入ると、広いアスファルトの広場がある。


 広場の周りには、RCコースのガードが置いてある。これでイベント時には、
 ここがサーキットになる。 電光掲示板も設置されている。



 広場の隣には、グランドとトラックがある。どこも綺麗に整備されている。


 校舎横には、綺麗な芝生のオフロードコースが設置されている。


 校舎入り口には、様々なイベント等の写真が掲示されている。


 まずは校長にインタビュー。


 どうして、RCの授業などを始められたのですか? 

 元々私自身も模型が好きで、また教育としても非常に良い教材だと考え、
 政府に提案しました。
 最初は小さく始めましたが、今ではかなりの予算が認められています。教材等
 もすべて政府より支給されます。日本ではこの様な学校はありませんか?
 
 はい、日本ではこの様な学校は一校もありません。ただ一部の学校では課外
 活動として行っている所はありますが、規模は非常に小さいものです。


 この学校では普段のRC授業は週1日ですが、土曜日には有志でコース走行
 や、特別授業をしています。また希望者には他校からの生徒も参加する事も
 出来ます。

 授業は、構造の勉強や走行そしてレース参加またイベント開催等があります。
 またRC受講者は他の学科の成績も良い為に進学等でも優遇されています。
 大きな大会で良い成績をあげた生徒には、高校、大学への進学の道が開け
 ます。

 現在まだ、この様にRC教育を取り入れている学校は少ないですが、他校から
 も注目を浴び、多くの学校からも視察に来ます。今後は授業に取り入れる所
 も増えてくるのでは無いかと思います。
 ただ今後の課題としては、良い指導者を獲得する事、そして良い教材を入手
 する事です。

 そうですね、現在のRCカーはレース用や遊び用としては良い物が多いですが、
 生徒達の教材と考えた時には良い物は無いですね。 構造がしっかりと理解
 出来、簡単で安くそして壊れないマシン...こんな車を造らないとダメですね
 中国に多くのメーカーがあります。 私も今後何か考えてみたいと思います。


 そしてもう一つは先生です。現在の先生は皆非常に優秀ですが、レース等の
 経験が少なく実戦的なドライブテクニックやセッティングのノウハウがありません。
 これらの先生を廣坂さんが指導頂ければもっと技術が向上すると思っています。

 はい、これは私も以前より感じていました。現在の中国では設備や環境は
 世界の中でもかなり良い状態である事は確かだと思います。ただやはり先生
 の経験が十分で無く、特にレースレベルでは子供達を指導するのは、少し
 難しいのでは? と思っています。 今回も多くの所を訪問して、質問された
 のは、生徒達の車が上手く走行出来ない時に質問され、それに対処出来
 ない事が多いと言う事でした。 セッティングの手順や方法を教えて欲しい
 との要望が多くありました。

 勿論この様な要望に応える事は簡単ですが、残念ながら私は中国には住んで
 いないし、ここへ来るには時間、そして費用が必要となります。日本、中国では
 貨幣価値がかなり違います。しかし、近い将来何らかの形で協力出来る事も
 あると思います。 私自身も日本でも教室や指導等の場を持とうと色々と試み
 ましたが、現状では日本ではその様な土壌はありません。
 子供達の指導は私の夢でもあるので、是非何らかの形で今度は中国ででも
 果たせる事が出来れは良いと思っています。


 是非よろしくお願いします。


 まず案内されたのは、室内カーペットコース。あまり大きくは無いが、1/20位
 なら十分にレースが出来る、勿論計測器、そして電光掲示板もある。



 工作室では生徒達がマシンのメンテ中。


 展示スペースを兼ねたミニッツ用コース。


 先輩達が以前に製作した、作品。


 こちらは走行用の教材。綺麗に整備され陳列されている。


 練習用のシュミレーターも用意されている。


 トレーラーや戦車等も展示されている。


 こちらは本科雨滴なショールーム。古いものから新しいものまで、整然と展示
 されている。



 研究室では、色々な工作機械もよういされ、生徒達が自分でパーツを
 製作したり、設計等もすす事が出来る。




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 以下は学校より提供されたイベント等の写真の一部です。 多くのイベント等
 が開催され、教育の一部として取り入れられている様子が分かる。


























 この様に現在の中国では、教育の一環として取り上げられて多くのイベント等
 も開催されていますが、あまりメディアで取り上げられる事も少なく、雑誌等も
 少なく、協会の様なものも無くま横のつながりもあまり無いのでなかなか一般
 には知られない事も多いにでは? と思います。

 しかし今後は雑誌、またインタンーネット等のメディアで取り上げられる様になり
 また世界との交流等が積極的にされる様になると、一気に盛り上がり、また
 進化するのでは無いかと思います。

 私自身も今後の動向には大変興味がある為に、これからも注意深く観察を
 続けて行きたいと思います。


 終わり